スイスの中のイタリア

by | 26/06/2019 | Prologue

服部シュメーヤ千昌(Chiaki Schmeer Hattori)

ミラノから60kmのスイス、ティチーノ州に囲まれたイタリアの地へやって来たのは1998年。日本滞在が長かったドイツ人の相方がリタイアしてからの移住でした。ヘルマン・ヘッセが「わが心の故郷」と慈しみ、後半生を過ごした地がルガノ湖を挟んだ向かい側にあり、自室からその辺りを望むとゆったりとした気持ちになります。

新潟は雪の上越高田で育ち、1969年女子美術大学芸術学部洋画科卒業。在学中写真部に所属。1970年代はロンドンを拠点に欧州各地を巡っていました。その頃出会ったプレム・ラワットの言葉が、以来ずっと心の支えになっています。また、ジョン・レノンのイマジンを今に重ねて聞き入るのはあの時代を通り抜けた者が共有するものでしょう。

1980年、帰国。電気機器会社海事広告課を経て、デザイン会社で建築、インテリア、プロダクトなどの色彩デザインに従事。1992年、東京から西宮市に移住。1995年の1.17阪神淡路大震災では被災地の真っ只中を経験しました。

そして、2011年の3.11東日本大震災。2012年3月、自分の目で確かめたい気持ちに引きずられて現地に立ち、被災1年後の東北をカメラに収めました。それをイタリアのメルカテッロGalleria INOPLASで開催されたL’incrocio展に出品、ギャラリーは井口純子夫妻が19年かけて、ていねいに修復した築530年の町家にあります。

翌2013年1月に訪ねた福島県南相馬市の写真と共に、スイス、ベリンツォーナのJapan Matsuriに参画。同級生、田村悦子さんのインスタレーション「再生の波」も同時参加しました。主催の日本文化を愛する地元若者たちが2011年以来毎年日本へ義援金を送ってくれることに励まされます。

改めて見わたすと水面に映る風景、森林をよぎる風、木洩れ陽に揺れる樹々の葉や森に群れる四季の花、朝陽の中に光る野花などの自然に囲まれていることに気づき、インスピレーションの源に感謝するこの頃です。